amazonでミステリフロンティア系の本を買う度にこの方の本を薦められていまして。
案内文なんかを読んでいても心くすぐられることが多かったのですが、いかんせん文庫化作品がなく、いつも迷ったあげく「次の機会に」にまわしてしまってました。
やっと!祝文庫化!
そういう経緯があったので、ミステリだろうと、それも新本格系のロジック&トリック(でも上記「ミステリフロンティア系」の本を買った人が買ってるのだから、日常の謎系?)だろうと思いこみがあった訳です。
人の顔がのっぺらぼう(完全な一色塗りつぶしではなくテレビ電話のような静止画スライド式)に見えてしまう少年。のっぺらぼうに見える人と、見えない人がいるのは何故か。そして、町内のたくさんの人が次々と不審な死を遂げるのは何故か。
…と書くとやっぱりミステリのような気もしますが。読者がロジックで解く余地がないので、まあ、敢えて言えば「古き良き昭和が舞台のファンタジー系ビルドゥングスロマン」という感じでしょうか。
人の中に、普通の視力では分からない「違い」があるとして、しかもそれは悪に引き寄せられがちだとして。それにどう向き合うか、「そうであるもの」と「ないもの」を峻別して排除(抹殺)すればそれでいいのか、という伝わりやすい問いかけがあるのが、上で「ビルドゥングスロマン」と書いた由縁です。(子供向け小説では多分ないんですけど)
書誌情報;
小路幸也『空を見上げる古い歌を口ずさむ』講談社文庫、2007
小路幸也『空を見上げる古い歌を口ずさむ』講談社文庫、2007